"放置"菜園で手間ナシ&美味しい野菜づくり入門

Posted by Waston Chen on

筆者が家庭菜園を始めたのは約5年前のこと。PCに向かって仕事する無機質な生活の中に、季節感が欲しかったのが理由。植物の成長は著しく、日々それを実感できるのは何よりも魅力的。加えて収穫=実益は野菜づくりの醍醐味と言えるでしょう。ちょっとしたすきま時間で手入れなどする以外は"放置"状態。それでいて、旬の採れたて野菜を肴に一杯! なんてしゃれ込むことができ、至福のひとときが過ごせること請け合いです。

興味はあるけど自分はちょっと……とためらっている方は、(1)時間が無い/手間がかけられない、(2)上手に育てられるか心配、(3)場所が無い-あたりが理由のトップ3でしょうか。知人と話しても、やはりこれらの話をよく聞きます。かくいう筆者もズボラな性格から、途中でメンドウにならないか心配でしたが、始めてみると意外と手間いらず……想像よりも遥かにカンタンです。

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(Left:今年初挑戦ながら立派なキュウリが実りました; Right:6月に収穫したニンニク。生ニンニクのみずみずしさは家庭菜園ならではの味わい)

日々の手入れは、平日は水やりと簡単な手入れ、休日には週1回30分程度の手入れをプラス、で十分。夏の水やりは2回が目安ですが、炎天下で水やりするとダメージを与える場合がありますので、出勤前・帰宅後の涼しくなった時間帯でOK。夜の水やり後にジョウロに汲み置きしておけば、慌しい朝でも困りません。朝晩2回でも合わせて10分程度ですから、忙しいアナタにも大きな負担にはならないでしょう。

失敗しないコツは、まずはセオリー通りに育てること。とはいえ、さほど難しい話ではありません。たいがいは種の袋の裏面に、好ましい温度や種まきのタイミング、収穫までの注意点が記されていますので、これに沿って進めればほぼOKです。また種苗メーカーのWEBサイトにはさらに詳しい情報が満載で、なかにはPDF形式の入門書まであるので、これらを活用すれば収穫アップも夢ではありません。

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(このタネは8月末~9月末ぐらいが撒き時なことが分かる)

「ちょい足し工夫」で"放置"菜園を目指す

"放置"菜園を作るには最初の第一歩が肝心です。

■"放置"菜園の準備

  1. インターネットで材料を用意する
  2. 材料が届いたら、苗を植える

たったこれだけですが、数ある商品から何を購入すればいいのか分からない人も多いと思いはず。以下では、"放置"菜園に最低限必要な材料について説明します。

■"放置"菜園を作るのに最低限必要な材料

  1. 日照を好む苗
  2. 大きめのプランター
  3. 野菜用に配合された培養土
  4. 液体肥料

■"放置"菜園を実現するちょい足しアイテム

  1. アルカリ性の炭
  2. マルチング

インターネットで材料を購入する

時間・手間を減らすには、種苗メーカーのWEBサイトを活用するのが一番。種や苗はもちろんのこと、土・肥料・プランターまでインターネットで購入することができます。また、種は郵便扱いで送ってもらえる場合もあり、送料も無料から100円程度とリーズナブル。活用しない手はありません。

タキイ種苗
サカタのタネ

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(左から小松菜・アイスプラント・ニンジン。早生(わせ)品種なら短期間で収穫できます)

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(タネ3種を購入した際の封筒。郵便扱いでポストに入れてくれるから、受け取りも手間ナシでした)

苗やプランター、肥料もすべてWEBで購入してしまえば手間要らずで、すぐに始められます。情報も豊富なので是非覗いてみてください。

【材料1】日照を好む苗

筆者は3階のベランダで育てていますが、遮蔽物が無いため西向きながらも日当たりは十分。ナスやキュウリのような日照を好む野菜も良く育ちます。逆に、パセリなどの強い日差しが苦手な野菜は、日中は部屋に入れるなど手間がかかるので、できれば日照を好む野菜を選んだ方がいいでしょう。ただし、日照ばかり重視していると、洗濯物が干せなくなるなど日常生活に支障をきたすようでは元も子もありませんので置き場所には気をつけましょう。

筆者が苗をオススメするのは、「種まき」が意外と難しい作業だからです。発芽までの数日間が勝負で、温度と水の管理で発芽率が大きく変わってしまいますし、撒いた次の日から急に寒くなり、全く発芽しなかったなんて苦い経験もしばしば……初めてチャレンジするなら、無理に種から始めるより、苗から始める方が、成功確率がグッと上がります。

どうしても、種まきからチャレンジしたい方にはジフィーポットがオススメです。天然素材で作られた「鉢」なのでそのまま植えることができ、プランターに定植する時に手間がかかりません。ただし、水分を与えるとふやけて破れやすくなりますので、専用のトレーか、無ければポリポットに入れて使ってください。

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(そのまま植えられるジフィーポット。時短には必須アイテム)

【材料2】大きめのプランター

プランターは、少し大きめがオススメです。小さいプランターは土の量が少ないため、大きく育ちにくいためです。土の量が多ければ水切れの心配も減るので一石二鳥。今回は、オススメのプランターを2種類用意してみました。葉モノなら長方形、根モノなら円形が良いと思います。長方形のものでもティッシュ5~6箱分の広さがあれば置けますので、さほどジャマにはならないでしょう。

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(left:アイリスオーヤマ・ベジタブルプランター500。幅50×奥行34×高さ26.3cmの邪魔にならないサイズ, right:同じくアイリスオーヤマのベジタブルポット10号。35cmと深いのでニンジンなどにも良さそう)

【材料3】野菜用に配合された肥料

土や肥料は種類が多く、自分で配合するのは難易度の高い作業。こだわり始めるとキリが無いので、ここでは「野菜」用に配合された培養土を用意します。しばらくは液体肥料を2週に1回程度与えて様子をみて、成長不足と分かってから固形の化肥を追加します。これらも種苗メーカーのWEBサイトから購入できるので、苗にあった肥料を選べば完了です。

◎肥料の基本

  1. 最初は液肥のみ購入
  2. 2週に1回程度与えれば十分
  3. しばらく続ける
  4. 成長不足(=元気が無いなど)と分かってから、固形の化肥を追加

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(そのまま使える「花と野菜の培養土」。25リットル入って500円前後と大変リーズナブル)

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(left:ジョウロの水に対して500~1,000分の1を混ぜるだけ。キャップで計量できるのもありがたい , right:花と野菜全般に使える化成肥料。まく量が野菜別に記載されているので専門知識も不要です)

【ちょい足し材料1】炭

プランターの底には石を敷くのが定番。これは通気性を良くするためですが、シーズンオフに耕す時に石の除去が結構タイヘン。そこで、石の代わりに炭を使って、更なる手間要らずを目指します。炭なら、自然と分解していきますし、残っていても取り除く必要はありません。雨が酸性なのに対してアルカリ性の炭は、バランスを保つ作用もあるようです。

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(石の代わりに使いたいのが鉢底炭。そこに置くだけのキャッチにヤラれました…)

【ちょい足し材料2】マルチング

最後の「ちょい足し」はマルチング。元来は土の表面をビニールで覆うことで地温を上げるのが目的ですが、それ以外にも(1)泥はねを防ぐ(=病気の予防)、(2)土が乾燥しにくい、(3)雑草が生えにくい―などの効果があり、日々の手入れが大幅にラクになります。

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(害虫予防の銀色の帯がついたマルチは、その名も「ムシコン」)

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(left: プランターと土の隙間にマルチを埋め込むの図。ナイフ(食器)を使うとカンタンです. right: 種や苗を植えるのは1週間ぐらい落ち着かせてから。植える部分はカッターで切り取ります.)

あとは培養土、苗を説明書通りに入れて、水をたっぷりかけたらおしまい。ちょっとした工夫を足すだけで、後のメンドウが大幅に減り、時間のない方も"ほぼ放置"状態で美味しい野菜が食べられます。

本連載では、ちょっとした工夫やグッズで、簡単・手間なしの野菜づくりのコツをお教えします。次回もお楽しみに!!


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